製造業以外でもつかえる!?ものづくり補助金はどんな補助金?

製造業以外でもつかえる!?ものづくり補助金はどんな補助金?

 

今回ご紹介するのは中小・小規模事業者を対象とした補助金の中でも知名度の高いものづくり補助金です(通称:もの補助)。

正式名称「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」とあるように、実はものづくり(製造業)以外の業種でも申請できる補助金となっています。

どのような補助金でどのような事業者が対象となるのか、本コラムでものづくり補助金について学んでいきましょう!

※本コラムは「令和元年度補正・令和3年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 12次締切」2022年8月時点の情報・公募要領をもとに記述しています。

 

どんな補助金?補助金の概要と目的

 

ものづくり補助金とは、中小企業が経営革新のための設備投資等に使える、補助上限額750万円~3,000万円、補助率1/2もしくは2/3の補助金です。前述したとおり、製造業以外でも使える補助金となっていますが、どんな補助金なのか、制度の概要と目的に触れていきます。

 

◆制度の目的

 

中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い生産性を向上させるための設備投資等を支援します。
(引用:令和元年度補正・令和3年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 12次締切公募要領 より)

この目的を整理すると、ものづくり補助金は…

  • ・中小・小規模事業者に「生産性を向上」させる「設備投資等」を支援
  • ・「働き方改革」「被用者保険の適用拡大」「賃上げ」「インボイス」等制度変更への対応

この2点が目的となる補助金だということです。この目的に沿わない事業は優れた計画であっても対象外となります。なので、補助金を申請する際に提出する事業計画書で記述する事業ストーリーは、当然ながら『「制度変更」にも対応できるように「生産性を向上」させる「設備投資等」を支援する事業』となります。

 

◆制度概要

 

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。

また、業況の厳しい事業者や、デジタル・グリーン分野で生産性向上に取り組む事業者に対して、通常枠とは別に、[回復型賃上げ・雇用拡大枠] [デジタル枠] [グリーン枠]を設け、補助率や補助上限額の優遇により積極的に支援します。
(引用:令和元年度補正・令和3年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 12次締切公募要領 より)

公募要領で記載されている制度概要の半分は目的と同じですが、もう半分は特別枠について書かれています。
[回復型賃上げ・雇用拡大枠] [デジタル枠] [グリーン枠]は特に国が重点的に強化・支援していきたい分野と言えます。

補助率や補助上限額を優遇することで、多くの事業者がこれらの分野の改善・改革に取り組むようにして、国全体の生産性・底力を向上させるのを期待しています。

また、海外・インバウンド事業強化を目的とした「グローバル展開型」という類型も用意されています。
また、設備の導入だけでなく生産性向上に資する幅広い経費が対象になっております。新しい機械を購入するだけでなく、様々な取り組みが行えます。

ものづくり補助金の対象となる経費

ものづくり補助金の対象となる経費

 

ものづくり補助金の対象となる事業者とは

 

ものづくり補助金は中小・小規模事業者を支援するものなので、対象となる事業者も中小・小規模事業者に限られます。

具体的には、「中小企業等経営強化法」第2条第1項に規定する中小事業者が主な対象となります。組合やNPO法人、先の中小事業者には含まれないものの「中小企業等経営強化法」第2条第5項に規定される特定事業者の一部などもそれぞれ要件がありますが対象となります。

下記の表に、主な対象である中小事業者(組合関連以外)の要件をまとめました。

ものづくり補助金の対象となる中小企業者(組合関連以外)

ものづくり補助金の対象となる中小企業者(組合関連以外)

 

補助事業の種類と補助される金額

 

制度概要でも軽く触れましたが、ものづくり補助金にはいくつかの種類があります。
その種類によって補助される金額や補助率が変わってきます。ここでは、一般型、グローバル展開型の2つの型に含まれる5種類の類型をご紹介します。

一般型・グローバル展開型の事業類型

一般型・グローバル展開型の事業類型

 

補助対象となる要件・達成目標

 

ものづくり補助金を申請する上で、事業計画書の提出が必要ですが、立案する計画にも基本となる要件があります。この基本要件は5種類どの類型でも必要となる要件です。

 

◆基本要件

 

以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定していること。

・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加。
・事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする。
・事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加。
(引用:令和元年度補正・令和3年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 12次締切公募要領 より抜粋)

この基本要件を言い換えますと、「給与総額を年平均1.5%以上増やしましょう」「1番給与が低い人の賃金を最低賃金+30円以上の賃金にしましょう」「付加価値額を年平均3%以上増やしましょう」この3点を満たさない事業計画書は採択されませんよ。ということです。

ここでいう「付加価値額」とは営業利益、人件費、減価償却費を足したものを指します。

そして、この基本要件は、この3点を満たす「計画値」とした計画を書けばOKではなく、実際に越えなければならないハードル「達成目標」でもあります。

3~5年の事業計画期間内に、この3点の目標値を超えられない場合、補助金を返還しなければいけないケースがあるので、実現性がありつつ効果が見込める事業計画を立案する必要があります。

 

申請に必要な事業計画とは?

 

それでは、申請する際に必須であり審査ポイントでもある事業計画とはどのようなものでしょうか?

事業計画とは、どのように事業を展開・運営していくのかを記したものです。事業概要や売上構成など現状の分析から、今後どのような課題に取り組みどのような施策をしていくのかを計画していきます。

ものづくり補助金を申請するにはただ計画を立てるだけでなく、ものづくり補助金の目的や要件にあった計画を立案する必要があります。

 

◆事業分野

 

ものづくり補助金では、指定された4種類の事業分野からどの事業に取り組むかを選択します。

新製品開発や新生産方式など技術的な事業であるA分野、新サービスや新提供方法など付加価値向上に取り組むB分野と分かれており、A・Bそれぞれ2種類の分野が用意されています。

その4種類の分野からどれか1つを選択します。

ものづくり補助金の指定された4種類の事業分野

ものづくり補助金の指定された4種類の事業分野

 

◆事業計画の内容

 

ものづくり補助金の申請で提出する事業計画書は、電子申請システムで入力して申請します。

電子申請システムで入力する内容は、ものづくり補助金総合サイト(https://portal.monodukuri-hojo.jp/about.html)に掲載されている参考様式が掲載されているので、その様式をもとに事業計画を立案していきます。

大まかに言うと補助事業、つまりは「補助金を活用して実施する事業」を書いていくことになります。ここでは、ものづくり補助金総合サイトに掲載されている事業計画書の参考様式の項番号にそって、計画していく内容を紹介していきます。

1.応募者の概要等
2.事業内容
(1)事業類型:
一般型(通常枠、回復賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠)、グローバル展開型を選択
(2)事業計画名:30字以内
(3)事業計画の概要:100字以内
(4)事業分野:A、B4種類の分野から1つを選択
(5)具体的内容:
その1:補助事業の具体的取組内容
補助事業の目的・手段について、今までの自社での取組みの経緯・内容をはじめ、今回の補助事業で機械装置等を取得しなければならない必要性を示す。具体的な目標及びその具体的な達成手段を記載する。

応募申請する事業分野に応じて、事業計画と「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」又は「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」との関連性を説明する。

補助事業を行うことによって、どのように他者と差別化し競争力強化が実現するかについて、その方法や仕組み、実施体制など、具体的に説明する。

その2:将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)
補助事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー、マーケット及び市場規模等について説明する。
補助事業の成果の事業化見込みについて、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の価格等について簡潔に説明する。

その3:会社全体の事業計画
会社全体の数値計画を表に記載していきます。
会社全体の事業計画(表)における「付加価値額」や「給与支給総額」等について、数字の算出根拠(実現の道筋)を明記する。

3.これまでに交付を受けた国等の補助金又は委託費の実績説明(申請中の案件を含む)
4.経費明細表
5.資金調達内訳
6.労働者名簿
(引用:令和元年度補正・令和3年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 11次締切 参考様式1 より抜粋一部変更)

ここで、計画の主部であり審査でも主なポイントになるのが(5)具体的内容の計画です。ここで現在の自社の状況から、補助事業でどのような取り組みをするのかを説明していきます。

 

製造業以外でもつかえる!?ものづくり補助金はどんな補助金?まとめ

 

ものづくり補助金とは、中小企業が経営革新のための設備投資等に使える、補助上限額750万円~3,000万円、補助率1/2もしくは2/3の補助金です。

補助金の対象となる経費も様々あり、今後取り組んでいきたい課題のある事業者さんは補助金を活用することで、資金面で非常に助けとなる制度になっています。

しかし、忙しい日々の業務に加えて、取り組み内容を企画して、要件を抑えつつ事業計画を立てて、計画書に落とし込んで~と補助金獲得のための作業をおこなうのは中々難しい方が多いと思います。

そんな時に、事業計画策定や申請書作成、申請支援をおこなう協力者がいます。

商工会議所の経営相談窓口や中小企業診断士・行政書士・社会保険労務士などの士業といった専門家や計画策定・申請支援おこなう企業などが、様々な方法で補助金申請を支援しています。

このようなプロの支援者を活用して、効率化しつつ採択率を上げる計画を作り補助金獲得を目指す事業者も数多くいます。

しかし、世の中には、支援すると言いつつ実作業にかかる費用とかけ離れた報酬を要求する悪質な業者もいますので、注意は必要です。

着手金のあり・なしや成功報酬はいくらなのかなど、後々トラブルとならないように、契約内容の確認を怠らないようにしましょう。

いかがでしたか?
補助金を活用して今後の事業展開を考えてみるのも、選択肢のひとつとして検討いただければと思います。

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  • 原慎之介(Shinnosuke Hara)
    原慎之介(Shinnosuke Hara)

    中小企業診断士。計測機器製造会社の情報システム部門に勤務する一方で、図書館ビジネス相談会相談員、創業塾講師といった創業・経営者支援から、雑誌・Web記事への執筆などの活動に従事。 趣味は、スポーツ&一人呑み⇒1歳の娘を溺愛に路線変更。株式会社PRPRの補助金部門マネージャー

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